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「におい」をめぐる冒険 3 −こうしてヒトは生き残った−

前の記事で、ヒトが生き延びた理由を3つ挙げました。


1. 他の人類よりも子供を多く産むことができた

2. 体格が他の人類より細く燃費がよかった

3. どのような環境にも適応できた


「ヒトは子供をたくさん産むことができた」、と聞いて驚く人も多いでしょう。一般的に、ヒトは一度に1人か2人しか子供を産むことができません。医学の進んだ現在であれば、5つ子や6つ子という例もありますが、未熟児として生まれてきます。太古の昔ではそのような子供は、生き延びることができなかったでしょう。ともかく、ヒトは多産ではありません。しかし、毎年子供を産むことができます。ちなみに、チンパンジーは5年か6年に1回程度しか子供を産まないそうです。医療のない時代は、子供の死亡率は高かったのですが、それでも毎年産めることで、人口は確実に増えていったのです。


体格が細いという点についていえば、およそ5万年前までホモ・サピエンスと同じ時期に地球上に暮らしていたネアンデルタール人は、骨格ががっしりとしており、脳も体もホモ・サピエンスの1.2倍ありました。大きな体を維持するためには、たくさん食べることが必要です。氷河期などで極端な食料難に陥ると、ネアンデルタール人のほうがホモ・サピエンスよりも先に参ってしまうというわけです。


最後に適応能力ですが、ヒトは赤道直下から北極圏まで幅広い地域に住んでいます。暑い地域では体毛がないことで体温調節がしやすく、寒い地域では、猟をした動物の毛皮などで防寒をし、気候変動に耐えることができたのです。雑食性でなんでも食べられたこともプラスに作用し、食料が少ない時期を乗り切ることができました。


参考文献

三井誠『人類進化の700万年―書き換えられる「ヒトの起源」』講談社現代新書 、2005

『絶滅の人類史―なぜ「私たち」が生き延びたのか』更科功著、NHK出版、2018


by satoq_an | 2019-04-07 10:15 | 人間に関すること

読んで考えたこと、感じたことを、おもむくままにつづっています。


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